※似非プチ小説、挿絵でたっちゃんが半擬人化な猫になってますのでご注意を(笑)


*中丸ver*




ザー。

冷たい雨がオレの身体の熱を奪い始めてからどのくらい経っただろう。
「みかん」と書かれた古びたダンボール箱に入れられて。
路上にポツンと立つ電柱の下に置き去りにされた。

「YOUなら一人で大丈夫だヨ」

最後にそう言い残して去ったオレの元主人は二度と顔を見せるコトはなかった。
時間だけが過ぎてゆくー。

(寒い・・・)
(オレこのまま死んじゃうのカナ・・・)

そんなコトを考えていた時だった。

ブツブツブツッ・・・

聞き慣れない音が聞こえてきた。まるでドラムか何か叩いているような音。
初めて聞くその謎の音が徐々に近づいてくるのが分かる。

(なんだろぉ…?)

少しだけ気になってダンボール箱からチラリと覗き見しているとー
その正体は「人間」だった。

「ブッブツ・・・あ〜イマイチだなコレ。もうちょい高音でれば・・・」

ブルーの傘をさして時々立ち止まっては独り言を言いながら近寄ってくる。
片手でリズムをとっているのかよく分からない動きをしていて、
オレはその男に少し不信感を抱いた。

「ブツブツッ・・・ ん?!」

ピタリと男の足音が止まった。ちょうどオレのいる目の前で。
男が至近距離に入ったのでオレは即座に顔を引っ込めて俯せていた。

「えっ?なに?捨て猫!?Σ( ̄ロ ̄lll)」

バシャッ、と一歩後ずさりしたような音が聞こえた。
チラッと男を見ると周りをキョロキョロ見渡して「マジで?」を連呼している。

(なんかスゴイ挙動不審・・・;)

「紙がある・・・なになに、『YOU拾っちゃいなヨ』?」

その紙を何人もの人間が見てきたけれど。「ヒドイ」だとか「可哀想に」だとか
言うワリに拾ってくれる人間はいなかった。だから今回もどうせスルーされるに
決まってるから、ただこの『ブツブツ男』が何を言うかは気になった。
でもしばらく沈黙が続いたのでもう男はきっと立ち去ったものだと思った。

(・・・・・・・・?)
(雨、止んだのカナ?)

ザーという雨音は聞こえるのに雨がオレを濡らさなくなった。
正確に言うと、オレの周りだけ雨が止んでいる。なんで?
ふと目の前を見ると二本の棒のような足が見えた。頭上を見上げるとー
あの『ブツブツ男』がブルーの傘をオレに差してくれていた。

(濡れちゃってる・・・)

オレと同じように雨に打たれて濡れてしまっているその男は何か真剣に
考えているのか、眉間に皺を寄せて「いや、でも、だって」とまたブツブツ言っている。

「紙に書いてあったし、いっか!」

急にニコッと笑顔になったその男はゴホン、とわざとらしい咳をして
そっとオレの肩に手を置いた。

「えーと、あの、オレ、連れ帰らせて頂きますっ!!・・・イイっすか?」

何処か困ったような笑顔を見せたこの男の発言にきょとんとしてしまった。

連れて帰る?オレを?

「オレんち、今実家じゃなくてワンルームだから狭いケド・・・ダメですか?」

オレは無言でコクンと頷いていた。
なぜだかこの『ブツブツ男』には拾われてもイイ気がしたから。
「オレんち、スグ近くだから」と言って男の隣に並んで歩いていると
甘い匂いがした。ブルーの傘はなんでかオレが持っていて、男はただ雨に濡れていた。

(なんかオレが主人みたいじゃない?)

一瞬そう思うと顔が緩んだ。何処か腰の低いこの男はとても『主人』と呼ぶ気にはなれなかった。

ガチャリ。

数分くらい歩いたトコロでこの男のマンションに着いたらしく、「どーぞ!」と部屋に
言われるまま入っていった。

「お風呂入るっしょ?着替え持ってくるから、ちょっと待ってて!」

バタバタ部屋の奥に走って行った男の背中を見て、(ひょろい)と思った。
(身長はオレより高いケド、なんか細い。栄養足りてないのカナ??)
少しだけ心配になったけれどスグバタバタと戻ってきて「ハイ」と着替えをオレに手渡した。

「ゴメン、ソレしかなくて^^; イヤだったら別の持ってくるケド・・・」

「イイよ。」

「え゛っ!?なんて!?」

「コレでイイって言ってるの。」

「・・・・・・・・・・・」

男は拍子抜けしたみたいにポカンと口を開けて突っ立っていた。
しばらくしてハッと我に返ったのかブンブン首を横に振り聞いてきた。

「・・・あの、猫ですよね??」

「そうだケド?なんか文句ある?」

「・・・猫って、しゃべりますっけ??」

「オレは特別なの!そんなコトよりおまえのコトなんて呼べばイイ?」

「えっ? えーっと、中丸雄一だから…中丸でイイです。」

「オレはタツヤでイイよ。よろしく中丸。お風呂入るね。」

「えっ?あ、うん・・・」

納得のいかない顔をした中丸を尻目にさっさとお風呂に入った。
久しぶりのお湯のぬくもりが気持ちよくて・・・
視界が次第に真っ暗になっていったー

Zzz...



「あのー、タツヤ?お風呂長くない?もう1時間以上経ってるんだケド・・・」

トントン。

「タツヤさん?まさか寝てないですよね??」

ドンドン。

(うー・・・うるさいっ)

ドンドンとドアを叩く音で一気に現実に引き戻された。
中丸の「タツヤ?」という声が木霊する。せっかく良い夢見てたのに・・・

ガラッ

「失礼しまーす・・・」

「ぅわっ!?な、なに入ってきてんの!?///」

ボケ〜とお湯に浸ってたら突然ドアが開いて中丸の顔がニョキッと出てきた。

「お、良かった起きてた!ゴメンごめん、寝てるのかと思ってー…イテッ!」

「覗くな変態!スケベ野郎!ハゲ!」

慌てたオレは手元にあった石鹸を思いっきり中丸の頭に投げつけてやった。
中丸は「ゴメンって!;」と謝りながら撤退した。「そんな怒らなくても…」
「ハゲじゃないし…」と、遠くでまたブツブツ聞こえた。



「あがったー… ?」

ブツブツブツッ

(あ、またあの音だ!)
オレは部屋の真ん中でブツブツ言っている中丸に体当たりした。

「わわっ!?」

そんなに強く体当たりしたつもりじゃなかったのだけれど、中丸は部屋の隅っこまで
飛んでいった。(軟弱・・・)

「ぁいってー!;;なにそのスキンシップ!?」

「その音、なに?」

「え?あ、アレね、ヒューマンビートボックスっていって・・・」

急に真面目な顔になった中丸はブツブツの正体を事細かに教えてくれた。
得意げにそのボイパを披露しながら。オレを拾う時も練習してたらしい。
(見掛けによらず努力家なんだ、中丸って)
オレは素で感動して拍手した。中丸は照れくさそうに笑っていたけれどー

「あ、髪とくよ。服もサイズ合ってるな〜姉のなんだケド(笑)」
     
「肩がズレてる」と服を直しながら優しく髪をといてくれた。
オレはなんだかご主人様みたいな気分になって、気持ち良かった。

「中丸、今晩のおかずなに?」

「えーと、なに食べたい?」

「中丸がキライなモノv(笑)」

「えっ!?冗談!?」

イチイチ驚く中丸が楽しくて仕方ない。
(しばらくコイツで遊んでやろっかな)
なんて思ったりした。




<つづく?>





この似非小説に「ツッコミ」というモノを入れてはなりません。ツッコミどころ満載なため(笑)
前回と同じパターンで今回はゆっちです。ちゃんと終わるモノと思っていたら終わらなかった!挿絵は
書く前に描いたので話強引グマイウェイ☆ゆっちが「タツヤ」って呼ぶと違和感ありますね〜(笑)
なんか仁の時と比べてえらい端折ってる気がしますが気のせいですね!ゆっちと仁に拾われる前の
エピソード的話で亮ちゃんに拾われたverもチラリズムに書きたいなぁとか考えてます(笑)
ソレがたっちゃん荒んでる原因にとか・・・嗚呼どこまでも広がるモーソーの世界!自分が怖いぃ〜!
にゃんこタツヤがミニサイズだと思ってた方、スミマセン。アリエナイよねウン。ツッコミNGですよ!(笑)
反抗的な野良猫たっちゃんという痛い設定に一人で萌えてます☆(滅)どこまで続くやら??













SEO [PR] 爆速!無料ブログ 無料ホームページ開設 無料ライブ放送